「この人と働いてみたい」と思った女性編集者の話
社員が大切にしている言葉を紹介する連載企画「Quotes」。 第22回に登場していただくのは、メディアビジネス部 ガイドメディアグループ 上口さん。 今回のQuotesは今でもふと思い出す、以前の職場の憧れだった上司の教えです。
社会人4年目を迎えたとき、私はある決断をしました。社内公募制度に手を挙げ、これまで担当したことがなかったB2C向け媒体の編集記者になることです。
Webメディアの編集記者としてキャリアをスタートした私は、それまで主にB2B向けの媒体を担当していました。当時は企業の情報セキュリティが担当で、それなりにやりがいも感じていたのですが、失敗してもいいから20代のうちに新卒で入った会社でどうしても経験しておきたいことがあったのです。
1つは、当時在籍していたB2B向け媒体とは異なる指標、例えば取材から公開までのスピード感やPVなどの数字が厳しく求められる媒体での経験。もう1つが、入社当時から遠くで見ていた憧れの編集長の下で仕事をすることです。
その人はYさんといって、編集記者としてヒット記事を量産し、30代前半かつ女性で初の編集長に抜てき。IT系媒体がメインの会社でビジネス系のWeb媒体を立ち上げた人でした。
今回紹介したいのは、そんなYさんが社内外で言っていたある言葉です。
Webメディアの編集記者としてキャリアをスタートした私は、それまで主にB2B向けの媒体を担当していました。当時は企業の情報セキュリティが担当で、それなりにやりがいも感じていたのですが、失敗してもいいから20代のうちに新卒で入った会社でどうしても経験しておきたいことがあったのです。
1つは、当時在籍していたB2B向け媒体とは異なる指標、例えば取材から公開までのスピード感やPVなどの数字が厳しく求められる媒体での経験。もう1つが、入社当時から遠くで見ていた憧れの編集長の下で仕事をすることです。
その人はYさんといって、編集記者としてヒット記事を量産し、30代前半かつ女性で初の編集長に抜てき。IT系媒体がメインの会社でビジネス系のWeb媒体を立ち上げた人でした。
今回紹介したいのは、そんなYさんが社内外で言っていたある言葉です。
私がYさんの下で働き始めたのは、2011年末頃。当時はビジネスパーソンの間でFacebookが活発に利用され、企業もSNSの活用を本格的に検討し始めていた時期です。
Webメディアの記事はよほどの人気媒体でない限りTOPページから読んでもらえることは少なく、公開してRSS経由で読んだ感度の高い読者がSNSやソーシャルブックマークで拡散、もしくはYahoo!ニュースなどのフィード先から読まれるパターンが主でした。もちろん、検索経由の流入も一定数あります。
部署異動してなかなか成果が出ない私にYさんや直属の上司はさまざまなアドバイスをしてくれました。企画の立て方、記事の構成、B2B向け媒体よりもどちらかといえばフランクな人が多いB2C向け媒体のライターさんとの付き合い方、などなど、挙げればキリがありませんが、中でも苦労したのが、記事のタイトル付け。そして公開した記事をいかに読者に読んでもらうか、記事の価値を伝達するスキルでした。
Webメディアの記事はよほどの人気媒体でない限りTOPページから読んでもらえることは少なく、公開してRSS経由で読んだ感度の高い読者がSNSやソーシャルブックマークで拡散、もしくはYahoo!ニュースなどのフィード先から読まれるパターンが主でした。もちろん、検索経由の流入も一定数あります。
部署異動してなかなか成果が出ない私にYさんや直属の上司はさまざまなアドバイスをしてくれました。企画の立て方、記事の構成、B2B向け媒体よりもどちらかといえばフランクな人が多いB2C向け媒体のライターさんとの付き合い方、などなど、挙げればキリがありませんが、中でも苦労したのが、記事のタイトル付け。そして公開した記事をいかに読者に読んでもらうか、記事の価値を伝達するスキルでした。
■Webの記事を読んでもらうための工夫
企画を立て、取材をして記事を書く。そして公開した後、記事の価値をどう分かりやすく読者に伝え、どうやって多くの読者に届けるか。もちろん他にもできていないことは多々ありましたが、特にその辺の工夫がうまくできず、「結構時間をかけて頑張って作ったのに、読まれなかったな」ということの繰り返し。
そんなとき、Yさんが社内や外部セミナーで言っていたのが、この言葉です。
そんなとき、Yさんが社内や外部セミナーで言っていたのが、この言葉です。
Webの記事は気づかれないと存在しないも同然。読まれる工夫が非常に大切
Yさんは紙媒体の編集者から転籍してWeb媒体の編集記者になった人で、紙とWebの違いや各媒体でどんな記事が読まれる傾向にあるかを言語化できている人でした。
Webの記事を読んでもらうには、タイトルやリード文が非常に重要。読まれる記事にするために、タイトル付けに1日かける編集者もいたほどです。Yさんもタイトルセンスはずば抜けていて、例えば2009年にYさんが書いた「iPhoneやめました」の記事。2008年に日本上陸したばかりのiPhoneについて、わずか1年弱のタイミングで「やめました」宣言をして、それをタイトルにもってきたのです。
Webの記事を読んでもらうには、タイトルやリード文が非常に重要。読まれる記事にするために、タイトル付けに1日かける編集者もいたほどです。Yさんもタイトルセンスはずば抜けていて、例えば2009年にYさんが書いた「iPhoneやめました」の記事。2008年に日本上陸したばかりのiPhoneについて、わずか1年弱のタイミングで「やめました」宣言をして、それをタイトルにもってきたのです。
反響があったため記事化したそうです(画面キャプチャはWayback Machineより)
当時在籍していた会社は記事が公開されたタイミングでメーリングリストに公開メールがくる仕組みになっていたので、私も仕事中にこの記事が公開されたことをメールで知り、思わず読み込んでしまったのを覚えています。
Yさんは、SNSもいち早く活用していました。TwitterもFacebookも実名でアカウントを運用し、担当した記事について、ついクリックしたくなる紹介文を添えて投稿しています。当時担当していたのは立ち上げて間もない媒体だったので、社外だけでなく社内にもファンを増やそうと社員向けのメッセージ1つをとっても、タイトルやリードを工夫されていたように思います。
記事は作って終わりではなく、タイトル付けや公開後いかに読まれるかの工夫や努力が大切だと、Yさんの下で働きながら学んだ約3年間でした。
Yさんは、SNSもいち早く活用していました。TwitterもFacebookも実名でアカウントを運用し、担当した記事について、ついクリックしたくなる紹介文を添えて投稿しています。当時担当していたのは立ち上げて間もない媒体だったので、社外だけでなく社内にもファンを増やそうと社員向けのメッセージ1つをとっても、タイトルやリードを工夫されていたように思います。
記事は作って終わりではなく、タイトル付けや公開後いかに読まれるかの工夫や努力が大切だと、Yさんの下で働きながら学んだ約3年間でした。
■あれから7年
Yさんとはキャリアについてもお話させて頂く機会が何度かありました。私はどちらかというと常に自分に自信がないタイプで、例えばYさんに「将来、上口さんが編集長になったとして」と言ってもらっても「いやいやいや、私にそんな器はないですよ」なんて切り返ししていました。
そんなとき、Yさんは「上司としては、昔の部下が活躍している姿を見るほうがうれしいけどね」と言っていたのですが、当時はどんな返事をしたのか、よく覚えていません。
それから転職も経験し、かれこれ7年ほど経ちました。残念ながら今の私はまだYさんに報告できるような実績が出せていないのですが、日々記事を作っている中でタイトルやリードの重要性、公開後の工夫など、ふとしたときにYさんの言葉を思い出します。
このコラムを書くにあたり、久しぶりにSNSをのぞいてみました。Yさんのタイムラインには、変わらずつい読みたくなる紹介文とともに担当した記事の紹介や「Google Pixel 6」の音声認識機能で作った文章&消しゴムマジックを使った画像が投稿されていました。
あらためてYさんに教えてもらった日々を思い出すとともに、「やはり今もiPhoneよりAndroid派なのだろうか」と懐かしくなりました。
そんなとき、Yさんは「上司としては、昔の部下が活躍している姿を見るほうがうれしいけどね」と言っていたのですが、当時はどんな返事をしたのか、よく覚えていません。
それから転職も経験し、かれこれ7年ほど経ちました。残念ながら今の私はまだYさんに報告できるような実績が出せていないのですが、日々記事を作っている中でタイトルやリードの重要性、公開後の工夫など、ふとしたときにYさんの言葉を思い出します。
このコラムを書くにあたり、久しぶりにSNSをのぞいてみました。Yさんのタイムラインには、変わらずつい読みたくなる紹介文とともに担当した記事の紹介や「Google Pixel 6」の音声認識機能で作った文章&消しゴムマジックを使った画像が投稿されていました。
あらためてYさんに教えてもらった日々を思い出すとともに、「やはり今もiPhoneよりAndroid派なのだろうか」と懐かしくなりました。
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