クラゲを脱却させた半獣のことば
社員が大切にしている言葉を紹介する連載企画「Quotes」。第21回に登場していただくのは、開発部・メディア開発1グループの山本さん。今回のQuotesはより後悔を少なくして生きていくための秘訣です。
「社員が大切にしている言葉を紹介する企画に寄稿してほしい」と頼まれたとき、途方に暮れた。私には特別に思う言葉がないからだ。
訂正。これまでたくさんの言葉をもらっており、どれも大切なのだ。自分を構成する価値観や考え方は祖母から始まり、恩師やメンター・上司・同僚にたくさんもらった。
バシッと決まった言葉が一つでもあればそれを出したいと思うわけだが、大切にしているのはどれも言葉というより会話のシーンそのもの。選べない、セリフの抽出も難しい。
そんなものだから自己紹介で座右の銘の記入欄に出会うものなら、「名言 短文」で検索した結果から、その日の気分でいいなぁと感じた言葉をコピーすることで誤魔化してきた。
しかし、今回は目安1000字以上で書かねばならぬ。Google検索に頼り、他人の言葉を借りるには厳しい量だ。この時点でなぜ自分は依頼主にそれっぽい理由を作って断らなかったのかと本気で後悔している……。
きっと本件の編集担当は「なんだ山本は。のらりくらりと書き連ねて……これではコンテンツにならないじゃないか、骨が折れるなあ」と思っているかもしれない。
そんな気配を察しつついい加減、ぶーぶー言いながらもなぜ自分はこの依頼を断らなかったのか。この話にひっかけて、そろそろQuotesを紹介しようと思う。
訂正。これまでたくさんの言葉をもらっており、どれも大切なのだ。自分を構成する価値観や考え方は祖母から始まり、恩師やメンター・上司・同僚にたくさんもらった。
バシッと決まった言葉が一つでもあればそれを出したいと思うわけだが、大切にしているのはどれも言葉というより会話のシーンそのもの。選べない、セリフの抽出も難しい。
そんなものだから自己紹介で座右の銘の記入欄に出会うものなら、「名言 短文」で検索した結果から、その日の気分でいいなぁと感じた言葉をコピーすることで誤魔化してきた。
しかし、今回は目安1000字以上で書かねばならぬ。Google検索に頼り、他人の言葉を借りるには厳しい量だ。この時点でなぜ自分は依頼主にそれっぽい理由を作って断らなかったのかと本気で後悔している……。
きっと本件の編集担当は「なんだ山本は。のらりくらりと書き連ねて……これではコンテンツにならないじゃないか、骨が折れるなあ」と思っているかもしれない。
そんな気配を察しつついい加減、ぶーぶー言いながらもなぜ自分はこの依頼を断らなかったのか。この話にひっかけて、そろそろQuotesを紹介しようと思う。
どっちを選んでいいか分からないときは、自分がやるべきほうを選んでおくんだ。
そういうときはどっちを選んでも必ずあとで後悔する。
同じ後悔するなら、少しでも軽いほうがいいだろ。
「月の影 影の海」 下巻 楽俊の言葉
この言葉に出会ったのは中学生の時だ。思春期、そして厨二病全盛期である。当時を思い出すと顔から火が出るし、なんなら変な汗も出てしまう。
「自分が世界の中心であり、いずれ何かの主人公になれるんじゃないか」なんて恥ずかしげもなく思っていた私にとって、十二国記シリーズの「月の影 影の海」という作品は衝撃だった。主人公があまりにも等身大で、悩みも葛藤も隠さずドロドロに描かれていて、ファンタジーの世界なのにとても “リアル” で大好きになった。
「自分が世界の中心であり、いずれ何かの主人公になれるんじゃないか」なんて恥ずかしげもなく思っていた私にとって、十二国記シリーズの「月の影 影の海」という作品は衝撃だった。主人公があまりにも等身大で、悩みも葛藤も隠さずドロドロに描かれていて、ファンタジーの世界なのにとても “リアル” で大好きになった。
右上は新潮文庫の観賞(読み込み)用、左上が出版社違いの講談社文庫、中央は永久保存用。 |
作中、主人公は自分の人生を決める選択を迫られる。後戻りなどできない。悩みに悩んでしまう。このシーンで主人公を助け支える楽俊(らくしゅん)の言葉は、物語に没入していた自分にも響いたのだ。それはそれは、人生の指針にするぐらいに。
本来の私は、楽な方へと流されるクラゲのような人間だ。そんな自分でも、社内ではエンジニアとして相談を受けるに留まらず、宙に浮いた仕事を見つけては引き取り、良い方向になるように調整する役回りをしている。クラゲが鳴りを潜め、なんとか仕事が出来てるのは楽俊の言葉のおかげだ。
楽俊は先の言葉につづけて、こう話している。
本来の私は、楽な方へと流されるクラゲのような人間だ。そんな自分でも、社内ではエンジニアとして相談を受けるに留まらず、宙に浮いた仕事を見つけては引き取り、良い方向になるように調整する役回りをしている。クラゲが鳴りを潜め、なんとか仕事が出来てるのは楽俊の言葉のおかげだ。
楽俊は先の言葉につづけて、こう話している。
「やるべきことを選んでおけば、やるべきことを放棄しなかったぶんだけ、後悔が軽くて済む」
中学生の私は今以上に素直だった。小説の言葉に影響を受けて、クラゲでいるより楽に生きるには、後悔を軽くするのが良さそうだと思ったのだ。いつも後悔が軽くなるように、やるべきことをやるようにと仕事する日々は楽というより意外と楽しい。
もし当時、この言葉に出会ってなかったら今よりも後悔の多い人生をおくっていたのではないだろうか? そう思って今後もこの言葉を信じて仕事をしていきたい。
今回の依頼もあの時書いておけばよかった、なんて後悔するより、正直何を書いて良いかわからず悩むだろうが、拙い文章を綴ることを選んだ。
案の定、文章の終わりになってきて、話の締め方を見失って後悔をしている。しかし、このQuotesを誰かの心に留めることができればと思い筆を置かせてもらう。(※終始、筆は持ってない)
もし当時、この言葉に出会ってなかったら今よりも後悔の多い人生をおくっていたのではないだろうか? そう思って今後もこの言葉を信じて仕事をしていきたい。
今回の依頼もあの時書いておけばよかった、なんて後悔するより、正直何を書いて良いかわからず悩むだろうが、拙い文章を綴ることを選んだ。
案の定、文章の終わりになってきて、話の締め方を見失って後悔をしている。しかし、このQuotesを誰かの心に留めることができればと思い筆を置かせてもらう。(※終始、筆は持ってない)
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