コロナ禍入社で大混乱！ 戸惑う新卒編集者を救った“推し”の一言

締切数分前になんとか卒論を提出し終えた大学4年生の僕はもう新生活のことで頭がいっぱいで、オフィスが恵比寿だからおいしくてオシャレなランチを開拓したいなとか、同期はどんな人がいるのかな、ひとり暮らしはどの街にしようかなとか……とにかくワクワク、どきどきしていた。

ただ、それから数週間後、予想外すぎる強敵が登場して僕の社会人プランはどんどん崩れていくことになる。「新型コロナ」がやってきたのだ。

大学の卒業式は中止になり、約4年間務めた大好きなアルバイト先の送別会もなくなった。そして、入社初日からリモート勤務になることに。

緊急事態宣言中にもかかわらず、弊社の人事は段ボールにPCやマニュアル、気分転換のお菓子など、リモート環境でも不自由なく仕事ができるようにいろんな物を詰めて送ってくれた。今考えても本当にありがたいことだし、感謝してもしきれない。

入社式と新人研修を終えたあと配属部署が決まり、本格的にリモートワークがスタート。慣れないZoomやチャットツールに混乱しながらも、少しでも早く成長できるよう日々の業務を必死にこなした。

それから半年くらいが経ったとき、ふと、「この仕事のやり方でいいのだろうか」という不安に襲われた。コロナ禍での“正しい”仕事の進め方って……？

入社以来、ほぼリモートワークしか知らない新卒フリーランスな僕にはかなりの難題で、なかなか答えが見つからずモヤモヤする時間が続いた。しかし、休憩中にチャットモンチーの『シャングリラ』を聞いていたとき、不意に解決策が降ってきた。

『シャングリラ』はチャットモンチーのドラム・高橋久美子さんが作詞したのだが、彼女はあるタイミングで脱退してしまう。スリーピースでもかなりコンパクトなのに、そこからドラムが抜けてしまうのはかなり痛い。マーチングバンド出身の高橋さんが奏でる独特のリズムも魅力だったため、脱退の知らせを聞いたときは解散かなと思った。

ただ、チャットモンチーは終わらなかった。

ベースの福岡晃子さん（あっこ）がボーカルの橋本絵莉子さん（えっちゃん）に自分がドラムをやるのはどうかと提案したのである。ベースがドラム!? まさかの展開だった。

その後チャットモンチーはツーピースバンドに大変身を遂げて復活。新しいチャットモンチーで多くのファンを魅了した。

なるほど、そうか！ 無いなら作り出せばいいのか。コロナ禍での正しい仕事の進め方が無い（わからない）なら、自分なりに頑張ってみればいいんじゃないか。

そこからは、自分の仕事のやり方を信じて、ときには諸先輩方にご指導いただきながら、とにかくがむしゃらに取り組んだ。すると少しずつだが数字も付いてくるようになって、今では後輩までできてしまった（うれしい）。

ふふふ、僕は“大変身”した。あのときは想像もしていなかったくらいに。

もしもまた仕事に行き詰まったら、僕はあの曲を聞きながらこの言葉を思い出すのだろう。