まじめになっちゃったときに浮かんでくる、先生からのダメ出し
社員が大切にしている言葉を紹介する連載企画「Quotes」。第8回に登場するのは、マーケティングソリューション部 制作2グループで、主にタイアップ広告の企画・制作を手掛ける山口さん。今でもmixiを通じてやり取りする大学時代のゼミの先生から当時言われたセリフを紹介いただきました。
■いまもマイミクの先生
ごくまれにmixiを開く。どのマイミクからオークリーのサングラスを売りつけられているかを確認するためじゃない。大学時代のゼミの先生から誕生日祝いのメールがくるからだ。
「お元気していますか?」とよそよそしい調子のメールを開くのはだいたい誕生日から数か月後。近況を報告して、返信を確認するのにまた数か月。あっとういまに1年がたち、気が付けば誕生日祝いが2年ぶりになるときもある。
小説家をしていた先生は、大学教授になり定年を迎えて長野で隠とん生活をしている。退職祝いで会ったのが最後だから、7、8年は経っている。
その退職祝いには大学の友人と行った。卒業制作の小説で賞を取った熊みたいな図体のやつ。自分は根をつめて毎日1冊本を読んだり、文を書いていたのに箸にも棒にもかからなかったから、悔しかった。
でも友人が書いた小説は、メンヘラの彼女にテレビのリモコンで顔面をひたすら殴られた上に警察を呼ばれたりと(彼の実体験)、すごく面白かったのを覚えている。
座敷に卒業生が30、40人いたから話す時間は少なかったが、ゼミの授業中に語っていた当時のことを振り返って「『小説家なんてお金になんないから、なるもんじゃない』ってぶっちゃけまくってましたよ」とか、あんなこともこんなこともといじったら、「まぁまぁそんなもんだろ」と笑っていた。
「お元気していますか?」とよそよそしい調子のメールを開くのはだいたい誕生日から数か月後。近況を報告して、返信を確認するのにまた数か月。あっとういまに1年がたち、気が付けば誕生日祝いが2年ぶりになるときもある。
小説家をしていた先生は、大学教授になり定年を迎えて長野で隠とん生活をしている。退職祝いで会ったのが最後だから、7、8年は経っている。
その退職祝いには大学の友人と行った。卒業制作の小説で賞を取った熊みたいな図体のやつ。自分は根をつめて毎日1冊本を読んだり、文を書いていたのに箸にも棒にもかからなかったから、悔しかった。
でも友人が書いた小説は、メンヘラの彼女にテレビのリモコンで顔面をひたすら殴られた上に警察を呼ばれたりと(彼の実体験)、すごく面白かったのを覚えている。
座敷に卒業生が30、40人いたから話す時間は少なかったが、ゼミの授業中に語っていた当時のことを振り返って「『小説家なんてお金になんないから、なるもんじゃない』ってぶっちゃけまくってましたよ」とか、あんなこともこんなこともといじったら、「まぁまぁそんなもんだろ」と笑っていた。
年に数回だけ開く、山口のmixiプロフィールページ
■ゼミで書いた書評
「なぁに、まじめなことを言っておるんだ」
祝いの席の最中か帰り道かに、昔ゼミで言われたことを、ふと思い出した。
植民地化によって母国語を失った民族の悲しみをテーマにしたエッセイについて書いた書評への先生の感想。
PUNKやHIPHOP、Reggaeなどのレベル(反抗)ミュージックが好きだったから自分とは地続きのつもりだったのだが、
「なぁに、まじめなことを言っておるんだ、おまえはたいして世界を知らないだろ、ふざけるな」
語気の荒くない、ふざけるな、が続いた。褒められることも多かったので少し驚いた。
先生は若いころにインドを旅している途中でA型肝炎にかかり、ちょっとした神秘体験をしてものの見方が変わったこともあって、小説家になった。ヒッピーではないけれど、その近親のようなものだったから、社会問題に興味がある風でおもねった内容と感じたかもしれないし、若者が妙に知ったふりをしたことが癇にさわってしまったのだろうと、当時はよく考えずに記憶から消えた。
ただ一度思い出してからというもの、たまぁにこの言葉が浮かんでくる。それも、大体失敗したとき。まじめぶればまじめぶるほど、かっこつければつけるほど、失敗することが多いのだ。
祝いの席の最中か帰り道かに、昔ゼミで言われたことを、ふと思い出した。
植民地化によって母国語を失った民族の悲しみをテーマにしたエッセイについて書いた書評への先生の感想。
PUNKやHIPHOP、Reggaeなどのレベル(反抗)ミュージックが好きだったから自分とは地続きのつもりだったのだが、
「なぁに、まじめなことを言っておるんだ、おまえはたいして世界を知らないだろ、ふざけるな」
語気の荒くない、ふざけるな、が続いた。褒められることも多かったので少し驚いた。
先生は若いころにインドを旅している途中でA型肝炎にかかり、ちょっとした神秘体験をしてものの見方が変わったこともあって、小説家になった。ヒッピーではないけれど、その近親のようなものだったから、社会問題に興味がある風でおもねった内容と感じたかもしれないし、若者が妙に知ったふりをしたことが癇にさわってしまったのだろうと、当時はよく考えずに記憶から消えた。
ただ一度思い出してからというもの、たまぁにこの言葉が浮かんでくる。それも、大体失敗したとき。まじめぶればまじめぶるほど、かっこつければつけるほど、失敗することが多いのだ。
・ちょっとした憧れだけで、人生経験も、面白い体験も積んでないのにガリ勉みたいに本を読んで書いた卒論はダメダメ。
・「こんな機会は一生にもうないんだ」と言い放ってひとり卒業旅行でアメリカに1ヶ月。旅の途中で彼女にふられる。
・電通の著名クリエイターみたいに隅々まで思考しつくさなきゃいけない。と時間だけかけたでっかいコンペであっさり負ける。
・本当は仕事に飽きていただけなのに、もっと自立した人材にならなきゃと転職したらクソ忙しくてすぐ辞めた。
・「こんな機会は一生にもうないんだ」と言い放ってひとり卒業旅行でアメリカに1ヶ月。旅の途中で彼女にふられる。
・電通の著名クリエイターみたいに隅々まで思考しつくさなきゃいけない。と時間だけかけたでっかいコンペであっさり負ける。
・本当は仕事に飽きていただけなのに、もっと自立した人材にならなきゃと転職したらクソ忙しくてすぐ辞めた。
まだまだありそう。まじめぶることで、本音がどこかに置いてけぼりになって、自分勝手になっていたのかもしれないと思って、二歩下がってからやり直すようにしている。繰り返しちゃってるけど……。
■褒められたのは鮎
別にまじめが悪いわけではない。物事には真剣に向き合った方がいいし、生活態度も良い方がいい。誠実が一番。でも自分の内面のうちの一面をよく見せるために頑張る、というのは自分のそれ以外の部分を見て見ぬふりしているし、とても不誠実なことだと思う。
たしかに先生に褒められていたエッセイも、書くことがなくてふとでたものばかり。
実家の食卓に鮎がでてきたから、あゆ(浜崎あゆみ)について書いた。映画「イレイザーヘッド」の踊る小人みたいに、食卓にちいさな「あゆ(浜崎あゆみ)」がでてきたので、ちょっと油が落ちてきたくらいがうまいとか、養殖じゃなくて野性味がある(エイベックスのお家騒動があったくらいの時代)とか好き勝手いいながら食べる話。
こんなもんでいいのかと思っていたけれど、たしかにゴシップ好きの一面がよくでていたのだった。
先日、このQuoteで執筆するテーマを決めて、mixiを開いた。すると先生から近況報告への返信がきていた。
「ところで本名は何でしたっけ?」
mixiネームだから本名がわからなくなっていた……。なんか資料でも調べればわかるはずじゃ? でも、実に「らしぃなぁ」と思ったので、「それ聞きます?」と素直に返しておいた。時、経ったなぁ。
たしかに先生に褒められていたエッセイも、書くことがなくてふとでたものばかり。
実家の食卓に鮎がでてきたから、あゆ(浜崎あゆみ)について書いた。映画「イレイザーヘッド」の踊る小人みたいに、食卓にちいさな「あゆ(浜崎あゆみ)」がでてきたので、ちょっと油が落ちてきたくらいがうまいとか、養殖じゃなくて野性味がある(エイベックスのお家騒動があったくらいの時代)とか好き勝手いいながら食べる話。
こんなもんでいいのかと思っていたけれど、たしかにゴシップ好きの一面がよくでていたのだった。
先日、このQuoteで執筆するテーマを決めて、mixiを開いた。すると先生から近況報告への返信がきていた。
「ところで本名は何でしたっけ?」
mixiネームだから本名がわからなくなっていた……。なんか資料でも調べればわかるはずじゃ? でも、実に「らしぃなぁ」と思ったので、「それ聞きます?」と素直に返しておいた。時、経ったなぁ。
先生からの実際の返信
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