視点を変えると見えてくる、新たな価値観

スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』を大学一年生の時に読み、私の考え方が大きく変わった言葉があります。それが「パラダイム」という概念です。大学に入学し、様々な価値観に触れる中で、自分の将来について深く悩んでいた時期でした。それまでは、自分が見ている世界こそが「正しくて当たり前だ」と思い込んでいました。でも、この考え方を知ってから、物事の見え方や人との関わり方がガラッと変わりました。

コヴィーはパラダイムを「世界を見るレンズ」と表現しています。私たちはそれぞれ、自分の経験や価値観、育ってきた環境を通して物事を見ています。だから、同じ出来事を目の当たりにしても、感じ方や解釈が違うのは当然なんです。このことを知った時、「ああ、私が正しいと思っていたことも、ただの一つの見方にすぎないんだ」と気づきました。

特に大きな変化があったのは、人との関わり方です。例えば、意見がぶつかった時、以前の私は「相手が間違っている」と思い込むことが多かったように思います。でも、パラダイムの考え方を知ってからは、「相手はどんな視点でこの問題を見ているんだろう？」と考えるようになりました。すると、不思議なことに相手の言い分も理解できるようになってきたのです。

また、自分がどういう認識を持っているかを意識するようになりました。例えば、何か新しい情報に触れた時、「自分はこれをどう解釈しようとしているのか」「過去の経験や固定観念が影響していないか」と自問自答するようになったのです。客観的に自分の思考を捉えることで、より多角的な視点を持つことができ、偏見や思い込みに気づく機会が増えました。この気づきのおかげで、意見をフラットに受け入れられるようになりました。

人生の生き方にも影響を与えたと思います。「自分はこの程度の人間だから、できることも限られている」と思っていたんです。でも、それもただの「自分の思い込み＝パラダイム」なんですよね。もし別の視点で見れば、「今はまだできなくても、これから成長できる」と思えるかもしれません。そう考えるようになってから、新しいことにチャレンジするのが怖くなくなりました。人生が少し生きやすくなった気がします。